2016年09月23日

『嵐になるまで待って』キャラメルボックス

嵐になるまで〜16.png2016.9.23(金)19:00〜 @かめありリリオホール

2016年グリーティングシアターと銘打った、本州11カ所をまわる巡回公演。
幕開けは東京からで、劇場はいつものサンシャインではなく亀有という東のはずれで行われた。池袋だって遠いのに、神奈川県民からしたら亀有はさらに遠い。でももっと遠くから来られる方もたくさんいらっしゃるのだろうから、こうやって巡回してくれると嬉しいよね。・・・KAATでもやってくれたら有難いのにな。

この演目はキャラメルボックスには珍しい、ちょっとビターテイストなサイコサスペンス。
あらすじは公式サイトを見てもらうとして。今回で5演目というくらいとにかく面白い話なわけで、最近のキャラメルに疑問符をチラ見しちゃうアタシさえもが楽しみにしていたものだ。
アタシがこの演目を生で見たのは97年の2演目が最初で、今回で四回目だ。初演も映像では観ている。
どの回もそれぞれ魅力的なキャスティングで甲乙つけがたいが、ヒール(悪役)である波多野は岡田達也が絶品だという声が高い。特にアタシのまわりでは(笑)

この波多野という役を誰が演るか?!
それは主役の配役よりも、大きな関心事なのだ。
今回の波多野は、かじもんこと鍛治本大樹くん! やさしくて真面目で、好青年そのもの!な彼が、どう演じてくれるのか。アベジョーこと阿部丈二くんかなあと思っていたので意外だったけど、かじもんは大好きだし、芝居に関しては本気で頑張る子だからねえ。もちろん期待大☆で観に行った。
※ネタバレ気にせずいきますんで、気になる方はここから引き返してね。

観終わった感想は、やっぱり「おもしろかった」!
今回の『嵐〜』はサスペンスの「怖さ」よりも、「哀しさ」がより際立っていたように感じた。
最初に観たときから約20年経って自分が歳をとったからかもしれないけど、自分の視点は完全に主役のユーリから波多野姉弟に移っているんだなあと。二十代前半のきらきらしたフレッシュなカップルより、三十代半ばの哀しみを背負ったきょうだいのほうが、どうしたって感情移入できるよね。アラフィフ女子(女子言うな)としてはさ。

かじもんの波多野は線が細く、やさしく、姉を想うが故に犯してしまう行為に、自身さえも傷ついているかのように見えた。最後のシーンで姉に諌められ、駄々っ子のように泣きながら首を振る彼は、ただの弟でしかなかった。泣けた。
雪絵は弟の行為を感づいてはいても、彼を追い詰めてしまいそうで何も言えなかったのだろう。弟がおっかーさんや細見くんだったら、怖くて言えなかったのじゃなかろうか。もちろん、弟が怖いのでなく、弟のしていることのおそろしさ、という意味で。
岡田波多野は正しく悪役だった。あのなまめかしい声は本当に人を操る力がありそうだし、ユーリを脅すのもいっそ楽しんでいそうな雰囲気だった。
細見波多野はめちゃくちゃ怖かった。美声すぎる美声、端正な顔立ち。ピリッと神経質そうで、苦しそうで、怒らせちゃいけない感じ。アタシは細見くんの波多野が一番「らしい」と思っている。

歴代雪絵さんもそれぞれ素敵だった。今回の岡内さんは主役のユーリも演っているが、断然雪絵さんが良かった。美しくて強くてかわいらしく、手話がとてもやわらかくてきれいだった。雪絵さんは美しくなくちゃね。2002年版で雪絵を演ったろうの女優である忍足さんが、今回の手話指導だったらしい。彼女の雪絵は特に印象深かったな。。

狂言廻しの広瀬教授、彼だけ五回ともミスター・キャラメルボックスと呼ばれる西川浩幸が演じているのだが・・・数年前に脳梗塞を患ってから言葉がスムーズでなくなってしまったのだ。当初に比べればかなり回復したのかもしれないが、未だたどたどしく、大きくつっかえることもしばしば。とても好きな役者さんなのだけど、もう少し言葉が滑らかになるのを待つべきなのでは・・・とも思う。ファンとしては姿が見られるのは嬉しいのだろうけど、複雑な気分・・・。

フレッシュなカップルは、かわいらしいんだけどもちょっと・・・
アラフィフおばさんにはふたりともチト騒々しいかな〜。濃ゆいというか(^^;
コンプレックスを持っていて自分に自信を持てないユーリには、樹里ちゃんは溌剌としてるしパワフルすぎる気がする。樹里ちゃん自身の魅力ではあるんだけど、そういうパワーをちょっと隠せるようになれたら役に幅が出るんじゃないかなあ。
幸吉くん役の一色くんも、好感の持てる青年なんだけどね〜。


「私の言うこと、信じてくれる?」
「信じるさ。君が僕を信じて話してくれるなら」
このやりとりが劇中で何回か出てくるんだけど、アタシが毎回気になるのが・・・
「私の書くこと、信じてくれる?」
「信じるさ。君が僕を信じて書いてくれるなら」
という部分。
筆談しているから「書く」となってるんだけど、コレ、なんか変じゃない? ものすごく違和感があるんだけど、脈々と続いてるんだよね・・・このセリフ。皆、気にならないのかな。
じゃあどう変えればいいかっていうのも難しい。
「私のこと、信じてくれる?」
「信じるさ。君が僕を信じてくれるなら」
↑これじゃだめかな〜。

あと、今回のセットがぐっとシンプルになった。
基本的な造りは前回までの雰囲気を踏襲しているんだけど、奥の建物や両脇の木やらが、かなりスッキリしちゃった感じ。巡回するからなのか、予算が厳しいからなのか・・・。例のシースルーの壁にはガラスも塩ビも張ってなくて、窓を割るシーンはマイムと音のみで表現していた。これは大きな変更点だよね。
一番最初のシーン、暗い中に手話の手元がぼうっと浮かび上がる、幻想的で印象的なあのシーンがずいぶんアッサリ風味になったのは残念だったかなあ。前回までは毎回、本当にぞくっとするほど美しかったんだけども。

気になるところはあるけど、でもやっぱりいい作品には違いない。ツアーはまだ続くので、機会があればぜひ。公演情報はこちらにて。
アタシは千秋楽の所沢公演にも行く予定。楽しみ丸一ヶ月以上空くので、改めて楽しめるかな〜。
あ、そうだ。今回のリリオホールでの観劇で一番の不満点。アタシの席は前から2列目の上手(かみて)端っこだったんだけど、クライマックスシーンで、倒れた波多野と彼にすがる雪絵さんがまったく見えなかったのだ〜〜。セットの椅子と、手前に幸吉くんか誰かがいて、その陰に隠れちゃって・・・あのシーンが最高潮に盛り上がる(悲しみにくれる)シーンなのに!! 別の意味で泣きそうになったよ・・・。
所沢では同じく端っこなんだけどうんと後ろの方なので、きっとあのシーンもちゃんと見えるよね?!
という訳で、亀有の仇は所沢で討つ!


posted by 深月 at 21:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 芝居 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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